マーガレット

とりいらの

二月一日(月)

 心の内にあるものを、言葉にするのが苦手だ。うまく言い表せない。もどかしい。こんな自分に嫌気がさすのはこれで何回目か。

 「君は、僕たちのこれからを、どう考えているの」

 端的に言えばこうだ。いや、本当は、これだけの言葉でどれだけ言語化できているのか見当もつかないが。こういう感じのことを君に尋ねたいと思っている。それは確かだ。

 口に出してさえしまえば、口が無理なら文字に書いてさえしまえば、とは思うけれど、そこまでが難しいのだ。心で生まれたものが自分の外へ出て行くのを、素直に見送ることができない。

 怖い。そう、ただただ怖い。自分の心に生まれたものを、果たしてこれは生まれることが正しいのかと考えて込んでしまう。

 だから、そういうものはそのまま、心に秘めておくということをいつも選ぶのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る