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ティアナは茫然としていた。
目の前に積まれている書類、書類、書類!
これはいったいどういうことだろう。
机の上に雪崩が起きそうなほど積みあがっている書類は、すべてティアナが処理すべきものだという。
(なんなのよ、これ!)
このすべてに目を通し、サインして分類しろと? 無理に決まっている!
試しに一番上の書類を手に取って見たが、何が描かれているのか、ティアナにはさっぱりわからない。
これら書類を、昨日までオリヴィアが処理していたのだろうか。本当に?
(嘘に決まっているわ! だって、わたくしでもわからないのに、どうしてオリヴィア様に理解できるのよ!)
きっと、約束の一か月が経って、ティアナが処理をするとわかったから、わざと難しい書類を大量に回してきたに違いない。
ティアナは無意識に爪を噛みながら、この書類をどうしたものかと考えた。
普通に考えて、ティアナに処理しきれる量ではない。いや、「サインだけ」はできるだろう。そうだ。サインすればいいのだ。こちらに回されたということは、ただサインをしてほしいだけだろう、いちいち分類などしなくてもいいはずである。
(なるほど、そういうことね! オリヴィア様だってサインくらいならできるわよね。なぁんだ、簡単なことじゃないの)
ティアナは賢いから、つい「難しく」考えすぎたようだ。ただサインすればいいだけなら楽勝である。
ティアナは椅子に座ると、さっそく書類の下に自分の名前をサインしていく。このおかげで用意されていた勉強の時間は半減した。ただサインするだけであの鬱陶しい教師たちの顔を見なくて済むのであれば、最初から引き受けておけばよかった。
ティアナは鼻歌を歌いながらサインし続け、書類が片付くを大きく伸びをした。
「あー、終わった! でも納得だわ! サインするだけなら、オリヴィア様だって午後からのんびり図書館で本を読むくらいの時間は作れるわよねぇ!」
ティアナはサインした書類を受け取りに来た事務官に渡すと、メイドを呼んでお茶とお菓子を用意させる。
(勉強の時間は夕方から一時間だけだし、さぁて、何をしようかしら?)
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