第2話

最後という時めきをやはり忘れられない。最後の運動会、最後の夏休み。物事に最後と付ける意味を何となく考えてみた。恐らく“けじめ”なのだろうと私の中で行き着いた。1番腑に落ちる言葉が見つかったと我ながら思う。

最後のお弁当。高校最後の弟のお弁当。食べる人、作る人のけじめ。私なりの、弟なりのけじめ。卒業という区切りだからこそいつもと変わらない最後のお弁当を作った。

卵焼き、唐揚げ、ナポリタン、おにぎり。おにぎりの具は焼き鮭とツナマヨ。卵焼きは砂糖と醤油で甘じょっぱく。ナポリタンは具無し。仕上げにバターを入れると喫茶店風に。焼き酒は焦げ目がつくまでこんがりと、骨を取るのを忘れずに。しっかり油を切ったツナはマヨネーズと和えて。

弟の人生の節目に立ち会う事は出来なかった。だけれど、お弁当という食を通して弟の人生に関わり続けられた。良い経験だった。

きっと薄味の私のお弁当は、彼には物足りなかったかもしれない。でも最後まで私にお弁当を作らせてくれてありがとう。そして、卒業おめでとう。

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