第5話ラブストーリーと引越しは突然に(天星渚沙視点)
「ただいま帰りました」
「おかえり、渚沙」
「あ、兄さん。海外から帰っていらしたんですね」
「うん。思っていたよりも早く帰って来ることが出来て良かったよ」
私の兄、
兄には音楽の才能が秀でており、よく海外に渡って演奏したりしている。なので最近はこの家に兄は滅多に帰って来ることは無かった。
「高校生活はどうだ?楽しいか?」
「はい。皆さんとても仲良くしてくださるのでとても充実していますよ」
「そうか、それなら良かった」
「兄さんの方こそどうですか?海外の方で演奏、頑張っていらっしゃるんですよね」
「うん。大変だけど大勢のお客さんに聞いてもらえるからとてもやり甲斐があるよ」
「ふふっ、兄さんらしいですね」
「でも、そんな事より僕が今回早く帰ってきた理由はもう1つあるんだよね」
「それは?」
「渚沙に1秒でも早く会いたくt……」
「今からお茶を淹れてきますのでリビングでゆっくりしていてくださいね」
「えっ……もしかして兄さん嫌われてる?」
どうしようもない兄は放って置いて、お茶を淹れにキッチンへ向かい兄が飲む紅茶のティーパックと自分が飲むコーヒーのティーパックを準備した。
普段はなんでも完璧にこなして尊敬できる兄だが妹の事になると過保護になるのが少し残念な所だ。
(傘、律斗くんに貸せて良かった……凄く久しぶりに話したから緊張して変な顔してなかったかな?)
先程の学校での出来事を思い出しながらお湯を注ぎ、リビングへ向かうと両親が何か話しているのが見えた。
「おぉ渚沙、おかえり」
「ただいま帰りました。お父さん、お母さん」
「ん?どうしたんだい渚沙?そんなに嬉しそうな顔をして」
「へ!?いや、そんな事ないですよ?」
「あら渚沙、もしかして彼氏でもできたのかしら?」
「律斗くんとはまだそのような関係じゃ……あ、違いますよ!?かっかか、彼氏なんて出来ていません!」
「へぇ〜そっかぁ〜。渚沙の好きな人の名前は律斗くんって言うのね〜」
「ぐっ……も、黙秘権を行使します」
渚沙の母親の
父は大手企業の社長で母は父の秘書をしている。
仕事場では何でもきっちりとこなす2人だそうだが、家では娘が居ようと構わずラブラブするくらい仲が良い。
「そうだ渚沙。お前に今後に関わる大切な話があるんだ」
「はい、なんでしょうか?」
「渚沙はお母さんに似て美人にすくすくと大きく育ってくれて、今月で16になるだろう?」
「お母さんの事は置いておくとして、そうなりますね」
「渚沙もこれからは社会をだんだんと学んでいかないといけないと思うんだ」
「はい」
「それと同時に花嫁修行もしないといけない歳だとお父さんは思うんだ」
「……はい?」
「そんな訳で渚沙にはこれから高校卒業までの3年間、一人暮らしをしてもらおうと思う」
「……え?」
「昔から『可愛い子には旅をさせよ』って言うことわざがあるだろう?だから渚沙に花嫁修行も兼ねて1人暮らしをさせてみようと思うんだ」
「ず、随分と唐突ですね……」
「渚沙は勉強や運動が出来ても家事の方がお母さんちょっと心配なのよねぇ」
ぐむむ……お母さんは痛いところをついてくる。
確かに勉強や運動については日頃から努力をしている。だが、家事になると話は別だ。
特に料理。これだけは昔から苦手で学校の調理実習などは本当に大変だった。
(そういえば律斗くんって料理が上手だったなぁ……いつか教えてもらえないかな)
まぁそもそも料理を教えてもらう以前にまともに話せる自信がないのだけども。
「とりあえず、引越しが出来る様に荷物をまとめておきなさい。引越しの手続きなどはこちらで済ませておくから」
「はぁ……分かりました」
こうして渚沙の花嫁修行生活(?)は唐突に幕を開けるのであった。
おまけ(主な登場人物のプロフィール)
主人公
年齢 15歳 高校1年生
趣味 料理、ゲーム
苦手なもの 虫、人とのコミュニケーション
↑
(全く話せない訳では無いぞ)
ヒロイン
年齢 15歳 高校1年生
趣味 勉強、運動
苦手なもの 流行りのもの、料理、心霊系
↑
(ど、努力中です!)
律斗の友人
年齢 16歳 高校1年生
趣味 カラオケ、律斗をからかうこと
苦手なもの 勉強、魚料理(食べる事)
律斗の妹
年齢 14歳 中学3年生
趣味 スポーツ、お菓子作り
苦手なもの 虫、辛い物
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