3話 後輩

私はあの日のことを今でも思い出す。


10年前の今日


私は、後輩のことで頭を悩ませていた。


彼は、妙に似合わないキャラメルフラペチーノをすすりながら


こう言うのだ。


「はああ 、まじで会社行きたくないんすよ。」


「そうねえ。うん、わかる。」


どこにでもありそうな会話だろうか。


いや違う。


私にとっては、重要で決断をしなくては行けない「前夜」だったのだ。


決断は早い方がいい。



「ピロリン」(LINEの返信音)


(あ、後輩からじゃん。)


LINE:「先輩、まだですか?もう着きましたけど」


(はっ。しまった。)


LINE:「あああああああああああごめん!忘れとった!」


「ごめん蒼太!夜ご飯適当に作って食べて!!カレーはあるたぶん!」


「はあああい、いってらーー!って、、(またカレーかよ。)」


「明日ハンバーグにするけん!今度はわすれんたぶん!」


息子の信用してない目を尻目に


私はまた、かたかたの靴下で駆け出す。


LINE:「ふhっ、、相変わらず天然ですね(にっこりマーク)」


LINE:「はい、天然です。どうも(うっかりマーク)」


今日は久々に後輩とご飯なのだ。


そう、いまだに天然いじりは続いている。


全く全くやれやれだぜ。



あの日、そう。決断したあの日、


私は会社を遅刻覚悟で後輩を精神病院に連れて行った。


いや、強制的に連行した。とでも言っておこうか。


(私のしたことは間違っていないだろうか)

(後輩に寄り添えているだろうか)


、、、そう悩んでいたのが懐かしいな。。


でも、今こうして後輩と笑い合えている。


10年前の私。大丈夫。


優しさは間違えてなかったみたいだよ。


というか人の心配ばかりしてると後悔することになるぞ〜〜



忠告されてそうだと


ふと頭をよぎる


21歳の悩める夜。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る