第19話 従魔登録
「すごく美味しいです!」
「それは良かった」
私が刺身をがっつくので、ラフさんは笑って追加で魔
刺身をフォークで食べたのは初めてだ。
「サンドラ達が戻ってきた。帰ろうか。わさびと魔岩魚、それに醤油と茶葉はダンジョンの出口で渡すよ」
「ありがとうございます。お代お支払いします」
「お代はいいよ」
「でも貴重なものなのに」
「大量にストックしてるから気にしなくていい」
「じゃあ、代わりに魔蜂の蜂蜜もらってください。今日採ったんです」
「それは貴重だ。ありがとう」
二人と二頭でダンジョンを出る。
濃い午後だった。
「冒険者ギルドでココの従魔登録を変更しないといけないな。明日は時間ある?」
「はい、午後なら」
明日の約束。
「なら、2時にギルドで待ち合わせしよう」
「わかりました」
「じゃあまた明日」
「はい。また明日」
ココとサンドラは鼻チューして挨拶している。
明日もラフさんに会えるとは思わなかったな。
◇◇◇
「ただいまスイちゃん。魔岩魚のお土産だよ」
ココを連れて池に行き、水袋に入れていた魔岩魚を放す。
「今日はいっぱい良いことあった…。ココもお母さんに会えて良かったね」
釣りは楽しかったし、お刺身は本当に美味しかった。
魔岩魚が泳ぐのをしゃがんでにまにましながら見ていると、横からぬっと影が射した。
「スイちゃん…!」
スイちゃんの大きな顔が横にある。
スイちゃんは勢いよく嘴を池に突っ込んで魔岩魚をくわえ、丸飲みした。
(食べてるとこ初めて見た…!)
食べ終わってもスイちゃんがじっと横に立っているので、私も立ち上がって、羽をそっと撫でてみた。思ってたより固い。スイちゃんは無反応だ。
(頭撫でてみたい…)
恐る恐る手を伸ばし、頭を前から後ろにゆっくり撫でる。
(…これはちょっと気持ち良さそう?)
「ラフさんも、醤油も緑茶も、元はスイちゃんがココを連れてきてくれたおかげ。ありがとね」
スイちゃんは餌のつもりだったんだろうけど。
スイちゃんはしばらく撫でさせてくれた後、ゆっくり歩いて定位置に戻った。
◇◇◇
翌日、昼食後すぐにヒコミテに転移する。
家にいてもそわそわするので、待ち合わせより早くココを連れて冒険者ギルドにやってきた。
この時間帯は空いている。先に魔蜂の蜂蜜を一瓶だけ納品した。独特の甘い香りがしてトリスタンの好物なので、いつもギルドには最小限しか納品しない。
昨日採った蜂蜜は、今納品した一瓶を除いて全てラフさんに渡した。
ギルドの酒場の椅子に座ってラフさんを待つ。
なんだろう、なんだかちょっと緊張する。
2時少し前に、グレーの帽子と外套を着た背の高い男の人が入ってきた。火魔虎を連れている。ラフさんだ。
ギルド内が少しざわついた。
あ、目が合った。
「お待たせ」
「こんにちは」
ココはサンドラに抱きつき、サンドラはココにスリスリしている。
手続きのため、カウンターでラフさんと一緒に冒険者のタグを出す。
(ラフさんのタグ、Aランクだ)
「従魔登録を変更したい。従魔用のタグも新しく頼む。現在の登録は主がラフ、従魔が火魔虎のヨンドラだ」
…ひょっとして、
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