第11話 薬草採取
サンジュ滞在予定は残り四日となった。
私が住める場所は、王都の公爵邸か、テグペリ領の領主館か別邸だ。
別邸はサンジュの南、ヤカ村にあり、なんと温泉がある。祖父は毎年訪れていたらしい。
別邸に住みたいが、12歳の私が一人で(使用人はいるが)住むのは父が許さないだろう。
とりあえず、王都に戻ろう。
王都に戻ったって、私が第二王子に会う機会なんてそうない。仮にあっても、私から接近しなければ距離が近づくことはないはずだ。そもそも第二王子の好みはヒロインで、彼自身が悪役令嬢を婚約者に選んだわけじゃないんだし。
祖母は毎年初夏に王都にやってきて、一月ほど滞在する。私を第二王子の婚約者にすべく動くとしたらその時だろう。
その前に父とトリスタンに相談して対策を練ろう。一人で祖母と戦うのは絶対無理だ。
◇◇◇
サンジュ近くの森にイーサンとやってきた。
美しい紅葉を眺め、鳥のさえずりを聞きながらサンドイッチやスコーンを食べる。『草上の昼食』の絵の中みたいだ。ピクニック楽しい。
日本での日々を遠く感じる。そういえば最近はあまり日本のこと思い出さないな。食べ物のことは除いて…。
食後は少しお昼寝。起きたら薬草採取をする。
「こっちにいっぱい生えてるぞ」
なんとイーサンは冒険者だった。叔父もだ。
一昨日、トリスタン、イーサンと共に孤児院へ慰問に行ったのだが、そこにいる少年とイーサンは冒険者仲間だったのだ。
孤児院では寄付をし、奉仕活動として建物の壁の補修と掃除をした。
私はモップや雑巾をかけながら時空魔法を駆使して、汚れを根こそぎ転移させ除菌しまくった。いい仕事をした。孤児院の院長は公爵令嬢の卓越した掃除の才能に感心していた。
「親父は危険な魔獣が出るとこに行くこともあるしな。狩った魔獣の解体や買取りを冒険者ギルドでしてもらえて便利だし。現場で冒険者を雇うとき、同業者として実力を示した方がなめられないって親父が言ってた」
冒険者のランクは、S、A~Fの7つ。Sは国に数人しかいない英雄級、A、Bは上級、C、Dは中級、Eは下級、Fは見習いだ。
冒険者見習いは12歳から、冒険者は15歳から登録できるとのこと。
叔父のランクはBらしい。領の仕事と兼業でBはすごい。イーサンはEランクになったばかり。
「私も冒険者見習いの登録したい」
「えっアデルが!? 登録はできるだろうけど、貴族の令嬢でしてる人いるかなぁ」
「別人として登録できないかな」
「あーそれならありかもな。偽名のやつはいると思う。サンジュで登録するのはやめた方がいいと思うけど」
「お兄様と同じ顔だもんね。イーサンはヒコミテのダンジョンに行ったことある?」
「Dランクになるまで行くなって親父に言われてる」
「そうなんだ」
明日、イーサンが冒険者ギルドサンジュ支部に薬草を納品するのを見学させてもらうことにした。
薬草採取の後は栗拾いをし、むかごを採る。キノコ狩りもしたかったが
「アデル、それ食べたら笑い死ぬ毒キノコだから」
素人はやめといた方がいいな。
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