第1519話 空兎
空には兎がいる。空兎と言う。東から西に向かって走っている。いつか月に辿り着けると信じて、月に向かって走っている。毎日、短い脚を使って懸命に走り続ける。だけど空兎は気づかない。地球は丸くて、毎日同じところをぐるぐる回っているだけという残酷な真実に。空兎は、空回り。空兎は”からうさぎ”なのかもしれない。青空を駆け抜けていく白色の体をした空兎達の存在意義は、無駄なものなのかもしれない。努力は無駄なものだ。だけど空がこんなにも美しく見えるのは、なぜだろう。
視線を下ろして地上を見てみると、カメラを構えて空の写真を撮る人がいる。綺麗な空だと言い、空を見て元気を貰う人がいる。頑張る空兎の姿は、人を元気にする美しいものなのかもしれない。視点を変えると美しいものに見える世界。それが地球という我々の星。
どうか、この世界が平和でありますように。
そんな願いを込めて空兎達は、今日も東から西へと回り続けている。
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