第1518話 連続殺陣事件

その日も通報が鳴り止まなかった。今度は、山田公園で武器を持った者同士が喧嘩して殺し合いをしているという通報だ。大急ぎで現場に行って喧嘩を止めに入る。

「いえ、これは演劇の殺陣の練習です」

そう言われてしまう。事件性はなかった。だが、それでは終わらない。やれやれ骨折り損だと思いながら警察署へと戻ったら、今度は場所が変わり、柏木公園での喧嘩騒動。武器を持って殺し合いに発展しているという通報だ。しかし現場へ行っても演劇の練習だと言われてしまい、事件性はない。これの繰り返しだ。

最近、演劇が流行っているのだな。市民が通報してしまう程、練習にも迫力があるだなんて、一体どんな演劇なのだろうか。

…なんてね。そろそろ演技の時間は終わりだ。ふふっ、実はね。そもそも警察官である私も役者なのだよ。この演劇のタイトルは「連続殺陣事件」

人は誰しもが社会の中で、決まった役割を演じている。人生とは舞台の上なのだよ。

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