第1515話 恋愛成就彼女

私には好きな人がいる。

「ねえ、笹野君ってさ。好きな人いるの?」

それとなく聞いてみたら、彼から返ってきた言葉にショックを受けた。

「うん。俺、好きな人いるよ。片思いなんだけどな」

でも彼にも好きな人がいた。それは私……ではない、他の誰か。友達の愛子の事だ。

「そっか……。もしかして愛子?」

「うん。そうだよ」

彼は頬を赤く染めながら、照れ臭そうにそう言った。そんな彼を見て私は、明るく答えた。

「そっかそっか。私ね、恋愛成就彼女なんだよ」

「恋愛成就彼女?なんだそれ」

「私を一日だけ彼女にしたらね。好きな人と必ず結ばれるってジンクスがあるの。今まで三人も成功したんだよ」

「へえ、そりゃ凄いな。じゃあ一日彼女になってよ」

彼は悪気があって言っているわけではない。彼は鈍いのだ。いや、私が覚られないようにするのが上手いのだろうか。うん、彼が幸せになってくれるのならそれでいい。私は恋愛成就彼女だ。

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