第1506話 幸運町への招待状

幸運という駅があった。縁起が良いので、お土産に切符を買って帰る人が沢山いた。私もその一人だ。遠出してわざわざ幸運行きの切符を買った。一枚の切符を買ったが、幸運町へは行かなかった。行ってみたかったが、生憎時間が足りなかったのだ。また時間ができた時の旅で行きたい。そう思っていた。ある日の事だった。郵便ポストの中に白い封筒が入っていた。中を見てみると、幸運町への招待状が入っていた。

――素晴らしい街ですので、是非お越しください。あなたに最大級の幸運が訪れますように。


私は時間を調整して幸運町への招待を受ける事にした。列車に乗り込み、幸運町へと向かう。駅を降りると眩い光に包まれた。そこは黄金色に輝く町だった。素晴らしい。私は喜んだ。いや、もうここに住むことにしよう。そして私は幸運町に住んだ。もう幸せ過ぎて、この町から出る事は二度とないだろう。だって幸せ以外、何もない世界なのだから。

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