第1461話 春の新生活

この春から大学生。新生活が始まる。期待に胸を膨らませて、新居のマンションの玄関のドアを開ける。

「よーし、今日から頑張るぞっ!!」

そんな風に気合を入れているところを、隣のイケメンに見られた。

「あっ……」

「独り言のでかい奴だな」

「うるさいわね。放っておいてよ」

何なのよ、もう。着替えて大学へと出かける。隣の部屋のイケメンがついてくる。

「なんで後ろついてくるのよ」

「俺はこっちに用がある」

そして彼は、私と同じ教室までずっとついてきた。

「マジで……。同じ学部なの」

「どうやらそうらしいな」

「私、下野。よろしくね」

「独り言の多い下野だな。俺は新島だ」

「いちいち癪に障る言い方するわね」

「騒がしいのは嫌いだからな」

性格は最悪だ。私との相性は最悪だと思う。でも顔だけはタイプなのよね。

「おい」

「何よ」

「顔真っ赤だぞ」

「うるさいわよ」

あんたのせいでしょとは、言えなかった。

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