第1456話 桃色リボン

「ない!!どこにもない!!」

私のお気に入りの桃色リボン。部屋中を探し回った。

「お母さん。私の桃色リボン知らない?」

「知らないわよ。片付けないからよ。きちんと置き場を決めておかないからでしょ」

確かに私は、片付けが苦手で物を良く失くす。でもあのリボンだけは、絶対に失くしちゃダメ。

「うっ……ううっ……お婆ちゃんが生きてた時にくれた大切なリボンなのに」

その日の夜は、泣き疲れていつの間にか眠った。夢にお婆ちゃんが出て来た。お婆ちゃんは微笑んでいた。

「ごめんなさい。ごめんなさい。失くしちゃって」

次の日、仏壇に桃色リボンが置いてあった。次は失くさないようにするんだよと、お母さんの字でメモが書いてあった。そういえば思い出した。この桃色リボンは、お婆ちゃんの家の片づけを手伝った時のご褒美に買って貰ったんだ。これは、私が片付けができる証だったんだ。そう思うと、私は片付けができるようになった。

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