第1432話 妖怪と子供

あの古い神社には、妖怪が住んでいるらしい。そんな話を聞いた僕は、どうしても妖怪が見たくて、こっそり忍び込んだ。

「おーい、妖怪。いるのか!?」

「でぃひひ。なんか用かい?」

そこには、一つ目の妖怪がいた。

「うわあああ!!本当に出た!!」

「妖怪になんか用かい?ってね。でぃひゃひゃひゃひゃひゃ」

「おい、妖怪。名前はなんて言うんだ?」

「吾輩は猫である」

「えっと、確か夏目漱石だっけ?」

「でぃひゃひゃひゃ。違う。吾輩は猫である」

「猫が名前?」

「そうである」

「全然猫っぽさがないね」

「ふむ。ならこれでどうだ」

そうすると一つ目の妖怪は、一つ目の猫に姿を変えた。

「うわ、猫だ」

「でぃひゃひゃ。それでお前、吾輩に何の用だ?」

「友達になってよ」

「ふむ。遊び相手が欲しいのか。吾輩も退屈していたのだ。なら封印を解いてくれるか?」

そう言って僕は邪悪な妖怪だと知らず、封印を解いた。

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