第1424話 旅様

旅の神様の事を旅様って呼ぶんだ。旅様に会うには、旅先で善行を重ねると会えるらしい。そんな話を聞いた私は、旅先だからと調子に乗らず、落ちていたゴミをゴミ箱に捨てたりして小さな善行を重ねていった。旅先での心構えとして頭の隅に置いておくのは良いだろう。善行を重ねた日の夜、旅館の温泉で湯に浸かっていると、とても綺麗な満月が見えた。写真撮ったら綺麗だろうな。よし、明日は綺麗な桜の写真を撮りに行くことにしよう。今は春だし、見頃だろう。良い写真撮れるといいな。そんな事を考え、ぐっすり眠った次の日、観光スポットの有名な桜並木の公園に行った。桜の写真を撮る。せっかくなので、三脚を立ててセルフタイマーをセットして自分の姿も入った写真を撮る。今度は一人旅ではなく、誰かと一緒に来て撮りたいな。

「……あれ!?」

撮った写真には、私の肩に手を回してピースした笑顔の旅様が写っていた。旅様の悪戯に思わず笑ってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る