第1419話 空駆け抜ける青さだけ

空はどこまでも続いている。この青く美しい星で、僕は今、生きている。

息ができる。ただそれだけが幸せだと気付くのに、どれほどの人が気づくだろう。

青春は歌に捧げた。歌を歌い続け、人を魅了できるようになろうとした。

僕が魅了されたのは、合唱の世界だ。合唱は人と人の声が重なり合って生まれるハーモニー。それはまさに芸術であり、至高の産物だ。

青空に向かって歌う。息を大きく吸って大きな声を出して、僕はこの世界に生きているんだということを、どこかで一人ぼっちで孤独を抱えている人に向かって叫ぶのだ。

「君は一人じゃないよ」

かつて僕にそう言ってくれた人がいた。僕を暗闇から救ってくれた人。彼女が合唱の世界を教えてくれたんだ。だから今度は、僕が誰かに言うんだ。君は一人じゃない。一緒に合唱をしよう。歌おうよ。

うちの学校に合唱部はなかった。だから僕が作った。まだ入ってくれる人はいないけど、声が届きますように。

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