第1353話 災いの種

それは小さな種だった。そこから花が咲き、それは大きな災いとなった。種は災いの種だった。そのことを知った時には既に遅かった。

私はただ……

あなたが愛する人の為に生きていて欲しかっただけなのに── 。

「……んっ」

目が覚めると、そこは見慣れぬ部屋だった。

いや、違う。ここは確か……

そうだ!あの女の部屋だ!! 私は慌てて飛び起きると、部屋の中を見渡した。しかしそこには誰もいなかった。

もぬけの殻になった部屋を見て、私はやっと思い出したのだ。自分がこの部屋に連れ込まれた経緯を。

昨日は本当に散々な目に遭った。まさかあんなことになろうとは……。

あの後、私は彼女にベッドに押し倒され、そのまま組み敷かれてしまった。そして気が付いたら服を脱がされていたのだ。

彼女の手つきはまるで蛇のようにねっとりしていて、私の身体の上を這うように撫で回してきた。その度にゾッとした感覚に襲われ、私は恐怖した。

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