第1352話 恋の方程式

方程式の答えは解けたか?

その解は、何だ?

「……そうか。そういうことなのか」

僕の中で全てのピースがカチリと嵌った。そして同時に、僕の中に芽生えていた感情の正体に気付く。

僕は──。

「僕は、美春さんが好きなんだな」

今まで一度も自覚したことのない想いを、初めて自覚する。

今なら分かる。僕はずっと前から、美春さんに惹かれていたのだ。

だから僕は、彼女を助けたかったんだ。だから僕は、彼女を守りたかったんだ。そして、だからこそ、彼女が傷つく姿を見たくなかった。

ようやく分かったよ。僕が今まで美春さんに対して抱いていた気持ちが何だったのか。

それは──恋心だ。

「…………」

自分の胸中に生まれたばかりの恋心を自覚して、僕は呆然と立ち尽くす。

だがすぐに我に返ると、改めて目の前で泣き崩れている美春さんを見つめる。いつも笑顔を浮かべてくれていた人。彼女のために、僕ができることは何か。

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