第1351話 テレパシー地蔵

登山が趣味の私は、久しぶりにあの景色をもう一度見たくなり、以前登った事がある山を三年ぶりに訪れた。黙々と登っていく途中、お地蔵様がいた。こんなところにお地蔵様なんていた?前はいなかったと思う。

「前からいましたよ」

声に出てた?周りを見てみるが、誰もいない。

「えっ?」

「私は今、あなたの心の中に直接話しかけています」

その声の主は、お地蔵様だった。

「お、お地蔵様!?」

「はい。私です」

「話せるんですね」

「はい。話します」

「あ!そうだ、お地蔵様にお願いしたい事があったんだ」

「どんな願いですか?」

「私の友達に、会社でいじめられている人がいるんですよ。その人を助けて欲しいです」

「それはあなたの仕事では?」

「私には無理ですよ。私はただのOLですし、大して権力もありませんから。でもお地蔵様ならできるかなと思って」

「やれるだけやってみましょう」

翌朝、私は社長に就任していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る