第1340話 滅びゆく世界
滅びゆく世界を僕たちは、ただ見つめることしかできなかった。
「……くそっ」
僕は奥歯を噛みしめる。
『世界の終わり』から数日が経った。
僕はいまだに、『あの場所』にいる。
いや――正確に言えば、あの日からずっと、だ。
もう二度と帰れないかもしれないと思っていた家に、僕はまだいる。
そして僕は、あの日以来ずっとこの部屋で膝を抱えてうずくまっているのだ。
外は雨が降っているのか、窓を打つ雨音が聞こえてくる。
しかし僕の心にはまるで響いてこない。
ただの雑音として、耳を通り抜けていくだけだ。
「…………」
あれだけ憧れていたはずの家族との団らんも、今は苦痛にしか感じられない。
母さんと父さんの会話を聞いていても、何も頭に入ってこなかった。
そんな僕を見かねたのか、姉さんが気晴らしのためにどこかへ連れ出そうとしてくれたけど、結局それも断ってしまった。今の僕は、誰とも会いたくはなかったんだ。
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