第1336話 痛みを分け合う
「君と痛みを分け合う。そんな関係に、僕は憧れていたのかもしれないね」
「……」
「でも、それももう終わりだ。だって君は、僕の想像以上に強かったから。
君が本当の意味で『特別』になった時……僕はきっと敵わないと思ったよ」
「え?」
「君は僕を許さなかった。そして僕は君を許すことが出来なかった。だからこそ、この結末は必然だったんだと思う。結局僕らは分かり合えなかったし、理解できなかったんだよ。君のことも、僕のこともね」
「だから最後に、これだけは言っておくことにするよ。……ありがとう。短い間だったけど、楽しかったよ。本当に幸せだった。こんな日が来るなんて思ってもいなかった。それだけで、十分だよ」
「…………」
「じゃあね、リカ」
その言葉を最後に、彼は消えていった。私は彼のいた空間を見つめたまま、しばらく立ち尽くしていた。……いや、違うか。私が見つめているものは、そこにあるはずのないものだ。
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