第1303話 ゆるふわ

「今年のトレンドといえば、なんといっても、ゆるふわなんです。でもそれって、ただのフワフワでしょ? もっとこう深みがないとダメだと思います」

「はあ……」

よくわからないけど、なんかすごい自信である。こういう人に限って視野が狭い。俺がそんな失礼なことを考えていたら、彼女はさらに続けた。

「それに、私、もう三十路ですし、やっぱり落ち着きたいんですよねー」

「えっ?」

俺は耳を疑った。

この女……いや、この方……もしかして年上なのか? 見た目からして20代前半くらいにしか見えないぞ!?

「あの……おいくつですか?」

恐る恐る聞いてみる。すると、彼女はさらりと答えた。

「今年で29になります」

………………マジかよ!!!!

「そろそろ身を固めないとまずいかなって思ってまして……それで、どうでしょう? 私じゃだめでしょうか?」

「えーと……なら、ゆるくふわっとしたお付き合いから始めませんか?」

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