第1302話 ワールドカップ決勝

ワールドカップ決勝。俺達は、運命の一戦を目前に控えていた。

「いよいよだな」

「うん……!」

「大丈夫だよ、心配すんなって。洋介は絶対やってくれるよ」

幼馴染の洋介は、日本代表の選手だ。今や日本のエースと言っても過言じゃないくらいの活躍をしている。でも、そんなことはどうでもいいんだ。あいつならきっと、どんな逆境にも負けないって信じてるから。

「そうだね……。私、全力で応援する」

「ああ」

四年前の悪夢の試合。洋介は試合中、相手のファールを受けて大怪我を負った。そこから復活を遂げて今に至る。だから、今日の試合は絶対に勝たないと駄目なんだ。そして試合が始まり、激しい激闘の末、試合終了。負けた。1-0だ。悔しくて涙が止まらなかった。

「いやー、負けちまった。ってことは、次はもっと上にいける可能性があるって事だ」

洋介は笑顔でそう答えた。だがその顔は、誰よりも涙で溢れていた事を俺は知っている。

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