第1301話 恋人の醍醐味

恋人ができない彼に、私は恋人の醍醐味を教えてあげた。

「恋人がいるとね、いつも相手の事を考えちゃうの。その時間が愛おしくてさ」

「ふーん」

「恋人がいるとね、例えば誕生日とかクリスマスの時にプレゼントを買うとするじゃない。何をあげようかなーって。相手が喜んでくれるのが嬉しくてさ」

「へえー」

「恋人がいるとね、手を繋いだりキスしたり、ドキドキするんだよ」

「そっか」

彼には色々と何を言っても無関心なようだ。彼は恋人なんていらないんだろうか。今日はクリスマスだというのに、恋人のいない私は、恋人のいる素晴らしさを彼に伝えている。いわば恋の伝道師だ。

「でね」

「わかった。もういいよ」

「えっ?」

「じゃあさ、お前。俺と付き合わねえ?」

「ええっ!?」

「そんなに恋人が良い事なら色々教えてくれよ」

「えっ……あっ……あのっ……突然でその……ビックリして」

「ふーん、結構可愛いとこあるじゃん」

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