第1297話 半径二メートル

「この円の中には絶対入らないで下さい。私のパーソナルスペースですので」

彼女はそう言って、木の枝を使って円を描いた。どうやら、彼女の言うパーソナルスペースとは半径二メートルくらいの事らしい。

「そんな事より、何しに来たんですか?」

「……ちょっと用があってな」

「ふーん。じゃあもう帰っていいですよ」

「いや待て! まだ何も話してないぞ!」

「私から話すことなんて無いですけど? 」

俺は周りに助けを求めることは多いかもしれない……。だけど、それは俺自身が弱いからだと思っている。自分一人では何もできない。だから頼るのだ。

「事件を解決して欲しい」

「またですか。何度も言いますが、私は探偵ではありません」

「君のその卓越した推理力が必要なんだ」

人と距離を置きたがる孤独を愛する少女。彼女はいくつもの事件を解決してきた。天才的頭脳を持つ彼女は、何を思い生きるのか。いずれ明かされる彼女の心の闇とは。

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