第1296話 謎ソーダ

世界は謎に満ちている。それらは僕の知的好奇心を満たしてくれるだろうか。

「さあ、行こうか」

僕は立ち上がり、扉に手をかけた。

「お待ちください」

背後から声が聞こえた。振り返ると、そこにいたのは先ほどの女性だ。

「何だい?」

僕がそう訊ねると、彼女は深々と頭を下げてきた。

「私はラティーファと申します。あなた様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「……ハルだよ」

一瞬だけ迷ったが、結局は正直に名乗ることにした。

「では、ハル様とお呼びしても構いませんか?」

「構わないよ」

「ありがとうございます」

彼女はそう言うと、柔らかな笑みを浮かべる。

「では、改めまして……よろしくお願いしますね、ハル様」

こうして、僕は彼女と――ラティーファと出会ったのだ。

僕とラティーファは、難事件に巻き込まれやすい体質だった。そしてその度、彼女の持つ謎ソーダを飲むと頭が冴えて事件の謎が解けるのだ。

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