第1292話 恋のアンテナ

ピピッ!!反応する音がした。これは恋のアンテナが反応した時の音だ。僕には恋のアンテナが頭の上にある。普段は見えないようになっているが、恋をするとセンサーが反応して音が出るのだ。どうやらこの近くにいる人に、僕は恋をするようだ。しかしね、僕はもう恋なんてしない。もううんざりなんだ。何度女の子に振り回されてきた事か。もう振り回されるのはごめんだ。これからは自由に生きて行くんだ。そう都合良く何度もアンテナの通りに恋するなんて思うなよ、僕の頭の上の恋のアンテナよ。

女の子が何か探し物をしているのか、この辺りをウロウロしていた。関係ない。僕には関係ない。そう思ったら風でピンク色のハンカチが落ちてきた。

あー……これだよね?探し物。

「あの……これ」

ハンカチを渡してスッといなくなろう。

「ありがとう」

その笑顔は天使のような笑顔だった。僕はドキッとしてしまった。くそう、またか。また笑顔にやられた。

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