第1291話 後ろ姿

あの日見た君の後ろ姿を、僕は決して忘れないだろう。

「――それじゃあね」

そして僕は、君の背中に向かって手を振る。すると君は振り返って、笑顔で手を振ってくれるんだ。

「また明日!」

と、そう言って。

だから僕も

「うん! また明日!」

と言って手を振り返す。

それが僕の日常だった。だけどある日を境にその日常は崩れた。いつものように僕は学校に行って授業を受けて帰る途中のことだった。信号が青に変わるのを待っていると突然トラックが突っ込んできたのだ。僕は慌ててその場から逃げようとするけど足がもつれて転んでしまった。そんな僕にトラックが迫ってくる。もうダメだと思ったその瞬間、誰かが僕を突き飛ばした。そしてその代わりに誰かが轢かれてしまった。その誰かというのが君だった。

どうして。どうして君が死ななきゃいけないんだ。悪いのは転んだ僕なのに。お墓の前で思い出すのは、最後に君と別れた時に見た後ろ姿だ。

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