第1283話 雪姫

雪の降る夜の事。公園には一人の少女がぽつりと立っていた。

「お兄ちゃん、早く来ないかな……」

彼女はそう呟きながら、じっと空を見つめていた。

するとそこへ――。

「ねえ君、こんな寒い日に一人で何してるの?」

背後から男性の声がした。

彼女が振り返るとそこには、スーツ姿の中年男性が立っている。

「あ……あの……」

突然見知らぬ男に声をかけられ戸惑う彼女。しかし男はそんな彼女の手を取り、にこやかに語りかける。

「良かったらおじさんと一緒に遊ばない?楽しいことしようよ」

「えっ!?あの、私そういうのはちょっと……」

「大丈夫だよ、怖いことはしないからさ」

そして男は強引に彼女を連れ去ろうとする。

だがその時だった。

「おい待て!」

別の男の怒号が響いたかと思うと、そこに男が現れた。黒い覆面を被っている。

「その方を放せ!」

男は逃げた。

「姫。お迎えに上がりました。さあ元居た世界へ戻りましょう」

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