第1284話 インクシャチ

パソコンプリントのインクが切れたので買ってくれと頼まれた。いわゆるOLである私は、文房具店に連絡してインクを持って来てもらう事にした。すぐ行きますと文房具店からの返事の電話を切り、待っていると本当にすぐやってきた。

「毎度ー。パソコン用のインクですよね?」

「はい。いつもので」

「この度、新製品が入ったんですよ。インクシャチって言いましてね」

「何です?それ?綺麗に印刷できるんですか?」

「そうですね。シャチを印刷する時だけ綺麗に印刷できます」

「は?なぜシャチ……」

「そういう製品なんです。御社では必ずお役に立てるかと」

いつもの担当の人ではなく、不思議な雰囲気が漂う担当者に思わず、インクシャチを買ってしまった。後日、社長から挨拶があった。

「この度、我が社のイメージキャラクター、シャチ君を広めたいと思う」

インクシャチの出番だった。まさかあの担当者は、未来が見えているのだろうか。

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