第1215話 名医ロック

ロックは医者だ。これまで多くの患者を救ってきた名医だ。性格も穏やかで患者想い。手術もなるべく患者に負担のかからない方法で行い、成功させてきた。ロックは、何年経っても若々しかった。本当に先生は歳を取りませんねとよく言われた。

「先生、ありがとう。僕大きくなったらロック先生みたいな医者になる」

「そっか。なら大きくなったら僕の秘密を教えるよ」

少年はその言葉を不思議に思いながらも、後に知る事になる。名医ロックの秘密を。少年は大人になった。医者になった。ロック先生の元を訪ねると、彼はにっこりと微笑んでいった。

「君は十二代目名医ロックになるつもりはあるかい?」

そう。名医ロックは、十年毎に整形した新しいロックと入れ替わっていたのだ。名医ロックは、永遠に生きる究極の医者である必要があるのだ。

「やります。やらせてください」

顔と声帯をいじり、ここにまた十二代目ロックが誕生した。

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