第1207話 休決鬼

この近くには、吸血鬼が出るらしい。そんな噂を聞き、僕は血を吸われる為にやってきた。だって吸血されれば不死身になれるんだろう?それは最高じゃないか。山の中に入っていくと、辺りは薄暗く、本当に何か化け物が出てきそうな雰囲気が漂っている。やはり何かが出る予感がして僕は、テンションが上がる。

「おーい、吸血鬼さん。出てきてよ」

僕は叫んでみる。するとガサガサという草が揺れる音がして、そっちの方を見てみるとそこには吸血鬼がいた。やった!!吸血鬼だ。

「さあ僕の血を吸って不死身にしてくれ」

袖をめくって腕を差し出した。すると吸血鬼は、僕の腕に吸い付いて吸血を始めた。そしてしばらく血を吸うと満足したのか、吸血鬼は喋り出した。

「私は休決鬼。休みを決意すると書いて休決鬼だ。本当の吸血鬼ではない。私に血を吸われると、常に休みを決意してダラダラ休んでしまう」

それはただの無気力人間じゃないか。僕は呆然とした。

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