第966話 半分こ

吹奏楽部の練習中、顧問の先生がシュークリームの差し入れを持ってやってきた。


「皆集まって。ひとつずつ食べなさい」

「わー!!美味しそう」

「やったあ!!」


部員の皆がシュークリームを取っていった。全員にシュークリームが配られるとひとつだけ余った。


「じゃあジャンケンして勝った人のもの」


先生がそう言うのでジャンケンした。私はシュークリームが大好きなので気合を入れてじゃんけんをしたが、負けてしまった。シュークリームを手に入れたのは、打楽器担当の男の子だった。

いいなー。私は羨ましそうな目で見ていたら、彼が近づいてきて言った。


「お前さ」

「ん?」

「シュークリーム好きだったよな」

「うん」

「じゃあ半分こだ」


そう言って一つのシュークリームを半分こにして分けてくれた。


「えー!!ありがとう!!」


私の好み、覚えててくれたんだ。私はそんな彼の事が、最近気になって仕方がない。

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