第956話 雲の支配
流れる雲の数を数えて、僕はぼーっと空を眺めていた。
「何してんの?」
「雲の数数えてた」
「何それ。意味あるの?」
「ない」
「私も雲の数数えてみようかなー」
そう言って隣に寝転ぶ君。
二人して芝生の上で寝転びながら雲を数える。
「ひとつ、ふたつ、みっつ」
「羊みたいだね」
「眠れそう」
「あれ?何?あの雲」
「えっ?どれ?」
「ほら、あれ」
彼女が指差した雲は、人の顔をした雲だった。不気味な顔だ。
「なんだか怖い」
「ほんとだね。世界を支配してそうな顔だ」
その予感は的中した。
「私は世界を支配する者。この地球上、全ての人間は、私の為に尽くしなさい」
突然空から声が聞こえた。それはこの世の終わりの始まりの声だった。
それからは早かった。世界が終わるまでは。
もう一度、もう一度でいい。
雲の数を寝転びながら数えられるような平和な日々に戻って欲しい。
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