第957話 小さな種
小さな種は、何もない土の上に落下した。それは鳥が落としたものだ。その種は、やがて小さな芽を出した。その小さな芽に気づいた少年は、お水をあげた。
「君は何の花かな?早く咲くといいね」
そう言って少年は、毎日毎日、小さな芽に水をやり続けた。少年は病気で入院していた。毎日、外に出て小さな芽を育てる事が何よりも楽しみになった。だが少年は、病で亡くなった。ついに小さな芽は、誰からも水を貰えなくなった。小さな芽は、それでも懸命に生きようとした。少年が楽しみにしていてくれたから、一生懸命、花を咲かせようと必死に生きたのだ。
やがて月日は流れ、小さな芽は大きな花が咲いた。それは誰も見た事がない不思議な花だった。七色に咲き誇るその花は、虹花と呼ばれ、人々を楽しませた。虹花をきっかけに新しい恋も生まれた。全ては、病の少年が小さな芽を愛する事から始まったのだ。
愛は連鎖する。これは愛の花なのかもしれない。
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