第934話 心が軽くなる星

重力が6分の1になるんだって。

そんなところがあるなら行ってみたいね。だって重さが6分の1なら、心への負担も6分の1になるじゃないか。そんな事を言われて、予想外の答えに私は笑ってしまった。なるほど。月に行けば心も軽くなるか。確かにテンションが上がって軽くなるかもしれない。ところで君の心の重さは、一体何キロあるんだい?いつもお気楽そうな君に悩みなんてないんじゃないのか?


私がそう訊ねると、彼はこう答えた。


「6トン」

「そんなに悩みがあるの?」

「お前が鈍感すぎて全然気づいてくれないから、俺は心が重くなるんだ」


その言葉を聞き、私のせいなのかと思った。私、彼に何か悪い事をしてしまったのだろうか。うーん、分からないや。思い当たる事ないんだけどな。


「ああー、もう!!お前の事が……」

「ごめん。嫌われるような事しちゃったかな?」

「違うよ、好きなんだよ!!」


私の心は驚いて月へ行った。

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