第858話 粉雪が解ける頃
粉雪が悲しそうな表情をする君の肩へ、スローモーションで舞い落ちる。
僕達の関係は、もう終わったんだ。
今更悲しくなる必要なんてないんだ。
「さようなら」
また会えるからなんて嘘は言わない。
どれだけ君の事が愛おしくても、そんな事は言わない。雪が解ければ土へと還り、やがて大地を育てる命へと変わっていく。それと同じで、君の流した涙も全て大地を育てる命へと変わっていくだろう。
君には夢を叶えて欲しいから。僕は君の邪魔をしたくはない。だから互いの夢の為、別れの選択をしたのだろう。
僕の全てを投げ出しても君と一緒にいる覚悟は、今の弱い僕には、どうしてもできなかった。
僕達が互いに選んだ道は、どこまでも続いていく。
振り向かず、雪が降る薄暗い空の下を歩いていく。
でもいつか夢叶ったその時には、君が良ければまた逢いましょう。
粉雪が解ける頃、大地が色付く春が訪れる祝福の日に。
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