第853話 照れワーク

「よ、よせよ……。そんなに褒めるなよ。恥ずかしいだろ」

「ほんと格好良いですよねー」

「や、やめろよ……。褒めても何もでねーぞ」


これが噂の照れワークか。毎日毎日よくやるものだ。うちは社内恋愛が別に禁止ではない。だから社内恋愛で誕生したカップルが多数いる。仕事中だというのに、浮かれたカップル達は、互いを褒め合って照れている。これを照れワークと言わず、なんという。


「大石さん。これコピーお願いします」


だが俺は真面目に働くぞ。仕事は遊びに来てるんじゃないんだ。給料分はしっかり働く。真面目にコツコツだ。


「大石さん。手が綺麗ですね。何かケアしてるんですか?」

「ええ!?べ、別にケアなんて何もしてないよ」

「ほんとですかー!?色白じゃないですか」


不覚にも俺は、女性事務員に手を褒められて照れてしまった。

いかんいかん。これではまるで……


これではまるで、俺も照れワークじゃないか!!

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