第852話 秒針戻し

時間が巻き戻ればいいのに。

そんな願いを込めて私は置時計の秒針を手で戻した。すると不思議な事に、皆が昨日と同じセリフをしゃべり、同じ行動を取っている。


まさか……

そう。そのまさかだ。


時が一日戻ったのだ。

あの時計には、時間を巻き戻す力があったのだ。

私は昨日、些細な事で友達と喧嘩してしまった。それをずっと後悔して引きずっていた。あれは私が悪かったんだ。だから素直に謝らないと。


だって彼女は大切な私の友達なんだから。彼女と言い合いになった。そして私は謝った。


「ごめん。私が悪かったよ」

「ううん、私も言いすぎた」


無事に仲直りする事ができた。しかし異変が起きた。次の日もその次の日も同じ日がループするのだ。

なぜ?どうして?

原因は分かった。私が仲直りして未来を変えたせいだ。過去は変えられない。過去を変えようとすると、強制的に同じ日がループするのだ。だから私はまた彼女と喧嘩した。

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