第844話 ラバーペンシル錯視
鉛筆を波打つように上下に振る。鉛筆がゴムのようにしなり、グニャグニャと曲がって見える。この現象をラバーペンシル錯視と呼ぶ。
私は学者であり、悩んでいた。次の研究テーマを何にするかという事に。ラバーペンシル錯視で遊びながら、良いアイデアはないかと考えた。
「曲がって見える。……曲がる。そうか。曲がる鉛筆を作ってみればいい」
私は早速曲がる鉛筆の試作を試みた。曲がる鉛筆の素材は何が良いのか。どうやって曲げるのか。あれこれ考えた挙句、ようやく完成した曲がる鉛筆。
早速書いてみる。
ぐにゃ……。
「そうか。なるほど。筆圧について全く考えていなかった。力を加えると曲がってしまうなら、上手く書けないではないか」
これも失敗だ。私は画期的な物を作りたかった。しかしこれではダメだ。
何かこう違う物を曲げれるように。
そして私は、私自身を曲げた。その結果、私は筋を痛めてしばらく寝込んでしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます