第708話 シーソー
息子は外で遊びたがった。コロナ禍で家ばかりでいるのは、あまりに退屈そうだ。子供には我慢ならないのだろう。だから私は、たまにはと思い、息子を連れて公園に行った。
「お父さん。シーソーに乗りたい」
息子はそう言ってシーソーに向かって走っていった。そして息子はシーソーに乗ると、不思議なことが起きた。
なんと息子が乗った側のシーソーが重みで下に降りたと思ったら、今度は息子の側が上に上がったのである。
「へっ!?ええ!?」
一体どうしてシーソーが勝手に動いているんだ!?
そのあまりにも異様な光景に驚いている。しかし息子は、とても楽しそうだ。
「そっちに誰かがいるのか!?」
「透明人間さんだよ」
「透明人間!?」
「うん。僕にだけは見えるんだ」
そうか。お兄ちゃん。君なんだね。
昔、嫁が流産した。息子には本当は、お兄ちゃんがいるはずだったんだ。
……だから今、遊んでくれてるんだね。
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