第707話 お天気お姉さんは優しい

俺はテレビを点けた。


「続いてはお天気です。明日は雨が降るでしょう。かなり激しい雨だと予想されるので、必ず傘を持って出かけるようにしてください」

「マジかよ。明日大雨か」


俺はテレビに向かって独り言を呟いた。


「大雨が降ると足元が大変滑りやすくなります。小さなお子様を連れた方は、必ず手を握っていてあげてください」

「うんうん。そうだな」

「また激しい雨と風が同時にきます。まるで台風のような激しい雨になりますから、カツラを被っている人は、飛ばされないように注意してください。大事な頭皮がむき出しになってしまわないように、注意してください」

「カツラ……。ま、まあそれも大事だな」

「また女性の方は、化粧も薄めにするようにしてください。せっかく念入りに化粧をしたとしても、激しい雨で化粧が取れてしまいますから」

「化粧の心配までしてくれるんだ」

「以上。お天気でした」

「お天気お姉さん優しい」

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