第672話 心霊父さん
父さんはいわゆる見える人だ。霊感があるのだ。そんな父と一緒に家族で旅行に行った時、父は必ずと言っていいほど僕達には見えない何かを見る。
「……帰るぞ。ここは危険だ」
「ええ!?せっかく来たのに!?」
父はそう言うと、着いたばかりなのに帰る準備をした。しかしその一週間後、その旅館に泊まった家族連れが謎の失踪。そして更に三日後には、変死体で発見された。父さんの言う事の方が正しかったのだ。もしもあの時、帰らなければ……死んでいたのは、僕達家族だったのかもしれない。
そんな父さんと釣りに行っていた日。その日は良い天気だが、風の強い日だった。
「……そこには近づくな。もっと離れろ」
「へ?大丈夫だよ」
「ダメだ」
強く言われ、僕は離れた。
その次の日。
新聞を見ると、男の子が海に落ちて溺れて亡くなっていた。父さんの力は、本物だ。僕はその時確信した。
これが僕の父さん。心霊父さんです。
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