第635話 温かいお巡りさん
「すみません。お巡りさん。忙しいのに」
「いえいえ。これも市民の為。仕事ですから」
横断歩道を渡れないお婆さんをゆっくりと一緒に歩いてあげる。
「それじゃ、気を付けて」
この男、中村一郎は、温かいお巡りさんとしてテレビにも取り上げられたことがある警察官である。困っている市民がいると、すぐに手を差し伸べてくれる人情味溢れる警察官である。
そう。だがそれは表の顔である。
「コラァ!!三島!!資料が間違ってんだろうが!!ここ誤字だろ!!」
警察署内では、鬼の中村と言われ、仕事に大変厳しく口調が荒々しいのだ。
「いいか?俺はな。警察って組織が大嫌いなんだよ。テキトーな仕事して偉そうにしてりゃ国から給料がもらえる。そんな警察がクソ嫌いなんだよ」
中村は中学生の頃、警察に職質された。その時の対応に腹が立ち、俺が警察を変えてやると意気込んで今に至るのである。これが温かいお巡りさんである。
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