第632話 毒入りバレンタインチョコ

犯人はこの中にいる。一体誰が彼に毒入りバレンタインチョコを食べさせたのか。容疑者は三人。彼の彼女。妹。母。

それぞれの言い分を聞こうか。


「私は彼と付き合って1年。彼、甘い物が好きなのか分からないから、あまり甘くないビターチョコをプレゼントしたんです」

「お兄?まあ毎年あげてるよ。余ったチョコの処理係みたいな?」

「バレンタインデーだし、おやつみたいな感じで毎年チョコレートをあげてますよ」


それが彼女達の話だった。


「ちょっと待ってください。あなたの話、少しおかしくないですか?」


私が目を付けたのは、彼女だった。


「彼と1年付き合っている。そうですね?」

「はい」

「1年も付き合ってて彼が甘い物好きかどうかも分からない。本当ですか?」

「そ、それは……」

「ビターチョコ。彼との思い出もすでに苦いものになってたんじゃないですか?」

「すみませんでした……」


こうして事件は解決した。

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