第633話 出会い彗星

今日は出会い彗星が見えるらしい。出会い彗星なんて聞いたことがない彗星だ。なんでも神秘的な彗星で、良い人と巡り合える彗星なんだそうだ。


私は夜に河川敷に行き、空を見上げた。彗星が見えた。


「あれかな……?」

「多分あれですね」


隣に誰かがいて私の独り言に反応した。てっきり私だけしかいないと思っていたから、ビックリして腰を抜かし、その場に座り込んだ。


「だ、大丈夫ですか!?」

「ええ。すみません。ビックリして」

「驚かせてしまってすみません」


彼はとても穏やかな感じの落ち着いた人だった。彼と一緒に出会い彗星を見て、私は帰宅した。


それから数日が経った。

私が所属する劇団に、役者志望の彼がやってきた。


「あっ……」

「あっ、彗星の時の!!」


偶然にも私達は再会した。そして……

私は彼との恋人役で共演した。物語の中で私と彼は、恋人になったのだ。


これも縁だ。

出会い彗星、面白い。

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