第558話 傘剣士

好きな男の子と一緒に下校していた。その日は、登校中に雨が降っていたので、傘を持って行った。でも下校の時には、雨は止んでいて、傘はそのまま持って帰っていた。二人で歩いて帰っていると、前から髭を生やした大人の男がゆっくりこちらに向かって歩いてくる。そして私を誘拐して車の中に引きずり込もうとした。


「きゃーー!!離して!!やめて!!」


私は悲鳴をあげながら抵抗した。


「やめろ!!」


そして彼もそう言って必死になって持っていた傘で誘拐男を叩きまくった。


「クソガキが!!」


誘拐男は、彼を蹴り飛ばした。彼は転倒した。その時だった。


「おい!!何やってんだ!!」


若いお兄さんが来てくれて、誘拐男を取り押さえてくれた。誘拐未遂。そんな事件があった。


それから彼は剣道を習い始めた。私を守れなかった事がショックだったらしい。傘剣士だった彼は、本物の剣士を目指して修行している。

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