第557話 星の懐中時計

祖父がくれたのは、星がデザインされた青色に輝く懐中時計だった。


「わぁ、綺麗!!おじいちゃん、ありがとう!!」

「その懐中時計は、とても大切な物だ。いつか必ずお前を導いてくれる。大事に持っていなさい」

「導いてくれる?どういうこと?」

「――時がくれば分かる事だ」


それから祖父は、まもなくして亡くなった。結局、誰がいつ何を導いてくれるのか詳しい話を聞く事はできなかった。


――5年後。

私は、青色に輝く懐中時計を常に首からぶら下げていた。大好きだった祖父から貰った物だから祖父に言われたとおり大切にしていた。


「お迎えにあがりました。朱里様」


いつの間にか私の部屋に入ってきていた謎の男は、言った。


「お迎え?」

「懐中時計のお導きです。やっとあなたに出会えました。――王女様」

「どういう……こと?」


話を聞くと、どうやら私は、星の国の王位継承者らしい。長い私の旅が始まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る