第555話 山の中のお好み焼き屋

探検ごっこで山の中に入ってきた僕と妹は、道に迷った。辺りはすっかり暗くなり、夜の山の中は、不気味な雰囲気が漂っていて心細かった。時計を見る。もう夜中の12時。


「お兄ちゃん。おなかすいた」

「そうだな」

「お好み焼き食べたい」

「うん」

「あっ!!そうだ!!」

「どうした?」

「お兄ちゃん。山の中のお好み焼き屋さんの話知ってる?」

「わからない」

「夜しかやってないんだって。山の上の方にあるんだってさ。行ってみようよ」


もう夜の12時だ。営業しているはずがない。しかし妹は、山の上に向かって走って行ってしまった。僕は慌てて妹を追いかけた。するとそこには、本当にお好み焼き屋があった。


「おや?可愛いお客さんだこと」


そこでは、おばあちゃんが一人店をやっていた。こうして僕達は、無事に保護された。翌日、僕達はお母さんにこっぴどく叱られた。

でもあのお好み焼きは、美味しくて忘れられない味だ。

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