第533話 無駄な抵抗
厳しい顔をした国語の先生が言う。
「それでは始めなさい」
あー、やっべぇなぁ……。まさか抜き打ちで漢字テストかよ……。しかもこれが成績に大きく響くってマジかよ。
俺は漢字テストを受けていた。正直な話、漢字は苦手だ。どうして日本人というのは、中国由来の漢字を捨てて、ひらがなとカタカナだけでコミュニケーションを取ろうと思わなかったのだろう。いや、考えても仕方がない。今は漢字テストに集中するんだ。
第一問。会社の”どうりょう”を漢字で書きなさい。
同僚?
あー、同僚の「僚」の漢字、どうやって書くんだっけ。分からねぇ……。
いや、そもそも俺の知ってる同僚とは限らないぞ。会社の”同量”かもしれないぞ。例えばそう。同量で調整するって言葉がある。会社も同量で調整するって意味かもしれない。これは問題が悪い。きっとそうだ。そうに違いない。俺は無駄な抵抗をする為「同量」と書いた。もちろん結果は……
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